
前修斗世界ミドル級王者・菊地昭選手が今週末の修斗後楽園大会で引退式を行うそうです。オッティさんのブログで知ったんですが、好きな選手だっただけに驚いたし、残念ではあります。ただ格闘技というのは他の競技以上に「辞め時」という判断が難しいと感じるだけに、この若さで(今年で30歳)きっぱりと決断したことを酌んでお疲れ様でした、と言って上げたいです。
菊地といえばやっぱり思い出すのが2004年12月14日、ベルトを奪取したジェイク・シールズ戦。マッハも破った難攻不落の寝業師シールズとの息詰まるスタミナマッチを制したこの試合は生で見たこともあり今でも思い出せる。ラスト30秒を切ってブレイクがかかりスタンド再開となった場面、スタミナが切れかかり一瞬集中力が途切れたシールズに対し、振り向きざまに猛然と襲い掛かった菊地が印象深い。なぎ倒すようにテイクダウンを奪うと蹴り上げを捌き鉄槌一閃!動きが止まったシールズから一気にマウントを奪い決定的な場面を作り文句なしの判定勝ちをおさめた。
頂点に立つ選手と実力者であってもあと1歩頂点にたどり着けない選手との差、そのひとつが決定機を見逃さない皮膚感覚だと思う。試合終盤、接戦でお互い苦しい場面であったに違いないがそこで「追加点」を取りにいった菊地はまさにその感覚の持ち主だと確信したものだった。
一言でいうと質実剛健。華よりも実が詰まった本当に強さを感じさせる選手だった。デビュー前から名門K'Sファクトリーで「一番寝技が強い」と言われるほどの逸材。柔道仕込の強力な押さえ込みからの極めでランカーを次々と撃破していった。朴訥とした表情、飾りっ気のない黒ショートパンツ、ハードボイルド風な入場曲、酒好きと男くささ満載のイメージながらちょっとすっとぼけた?人懐っこいしゃべりでそのギャップの面白さを見せてくれた。
川尻ファンの私にとっては川尻とほとんど同じ大会に出場する菊地はある意味盟友的な感覚がある。同じ日にベルトを取ったし。いい意味で対照的な2人。戴冠後会場から出てくる時、私服にベルトを巻いて「へへん!」みたいな感じで出てきた川尻に対し、一般客のように何事もなく帰ろうとした菊地。友人達に捕まって(笑)「ベルト見せて見せて」と促がされるとモゾモゾとスポーツバッグを開け「これなんだけど・・・」とはにかむ。微笑ましい風景だった。
世界と比べ日本は層が薄くなる分け目とも言える76キロで世界トップグループと渡り合える可能性が間違いなくあった。実際にその輪の中にいたと思う。ファンとして心残りがあるとすれば菊地ほどの実力・実績があるならばCFでの予選的なトーナメントなしにそのままUFCに参戦させてほしかったな、と。
第2の人生も頑張ってください!